「日本21世紀ビジョンを見て」 2005年03月29日更新
内閣府が近くまとめる「日本21世紀ビジョン」の最終案がまとまったと先日報道された。 大雑把にまとめれば 経済のソフト化が進み 高齢者の健康期間が延び 人口が減っても生産性の向上により経済は成長可能で国民の生活はより良くなるということのようだ。無難なビジョン案といえるが21世紀を乗り切る斬新な発想は見当たらない。21世紀とは本当にこんな危機感に欠けた平和ボケ世紀なのだろうか。
日本の外を見れば北朝鮮が核保有をちらつかせているし拉致問題にしてもさしたる進展が見えていない。中国が台湾独立を武力で阻止することを正当化する法律を制定したがこれにより中国と台湾の間で緊張が高まることは間違いない。イスラムとキリスト教・ユダヤ教の戦いは一向に収まる気配が見えずテロや戦争が続くのであろう。そして 集団的自衛権を日本が行使できるようになれば日本は否応なく海外でのこうした争いに巻き込まれることになる。どう考えても平和ボケビジョンのとおりに事が進むとは思えない。
しかし このビジョンで最も重大な欠陥はエネルギーに関する記述がまったくないことであろう。現在世界の消費エネルギーは石油や天然ガス・石炭などの いわゆる化石燃料により賄われている。ところが化石燃料は今世紀中に枯渇に向うと考えられている。日本は消費化石燃料の98%を輸入に頼っているエネルギー小国でありその枯渇化は最大の問題である筈だ。 だから原子力をもっと活用すべきだという意見もあるが機械は必ず故障するもの人間は必ず過ちを犯す動物と考えた時そのもたらす被害があまりにも悲惨であることから現在の技術力を前提にすれば原子力依存には賛成できない。
化石燃料はその枯渇の過程において価格が上昇を続けると思えるので 代替エネルギー(現在 風力・潮力・太陽光等が小規模ながら実用化されている)が経済性を高めていくだろう。また 水素が経済性に見合った価格で生産されるようになればこれが永遠のエネルギー源となろう(完全に無公害エネルギーである)。こうした化石燃料の後を引き継ぐエネルギー源の開発に日本は世界の中でトップを進むような国にならなくてはならない。現在は民間企業によりこうした努力が行われているが
狙う目的が巨大である割に 投資されている金額は小さいのが現状である。化石燃料が安価で手に入る時に 代替燃料開発に巨額の資金を投入することは民間企業にはできない話である。
したがってこれは国が国策として推進すべきである。トヨタやソニーが世界中で製品を販売しているように将来日本の会社が世界中でエネルギーを販売することを考えたらその持つ意味がいかに大きいかが分るだろう。このレースでトップを走ることにより日本は真に豊かな国になれるのだ。
(一本杉)