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「豚肉脱税」 2007年02月16日更新

最近巨額にのぼる豚肉輸入関税の脱税事件が続発している。なぜ同様の事件がこのように連続して起きるのだろうか。そもそもこの関税制度の仕組みはまず国が基準輸入価格を設定し、実際の輸入価格がこれを下回る場合には基準価格との差額を関税として徴収し、上回る場合には定率の従価税を適用することにより国内市場を安定させ国内養豚業者を保護するものである。つまり消費者保護ではなく生産者保護を目的としたもので、その意味では良く出来た制度と言えよう。

しかしこのように巨額脱税が続発するからには、この制度に重大な欠陥があるに違いないと疑える。こうした目で制度を見つめると輸入価格が申告制であることが問題点として浮かび上がってくる。基準輸入価格は国内養豚業者の保護を目的としている以上輸入価格より割高に設定されるのが当然である。一方輸入業者はすこぶる当然のことながら出来るだけ安く買おうとするからなおさら基準価格との差は広がることになる。だがいくら安く買ったところで基準価格との差額がすべて関税として徴収されるのであれば彼等の努力が何の役にも立たないことになる。この努力の成果がまったく存在しないところに問題があるのではないか。

それならばということで輸入価格を実際より割高に申告して徴税額を減らそうとする考えはむしろあって当然とも思える。さいわい輸入価格を証明する書類はインボイス(送り状)だけで充分であり、これは私文書であるから価格の粉飾はかなり容易に出来るはずである。あくまで推測ではあるが、摘発された事件はほんの一部であって実際にはさらに多くの事例が存在しているのではなかろうか。なぜなら現存の制度を前提にするかぎり、そう考える方が自然だからである。

したがって脱税を無くなくそうとするのであれば、摘発を繰り返すのは不経済そのものであり、むしろ制度を変えるほうが妥当なのではないか。具体的にどうするかは専門家の知恵に待つほかないが、一つの選択肢としては国内養豚業者に組合を作らせてそこで輸入も行わせるのはどうだろうか。そうすれば輸入に伴う利益が養豚業者のものとなり、安く買えば買うほど彼等の利益が膨らむのだから安い輸入豚におびえる必要はなくなる。またその利益を背景により高級な豚を飼育して国内で高級豚の市場を開拓することも可能となろう。国内養豚業者の生きる道は、安い輸入豚が存在する以上高級化を図るのが最善と思えるのだが。

(一本杉)


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