「喫煙者にも人権はある」 2007年08月07日更新
昨今の風潮からすれば喫煙者を擁護するようなことを言うのは憚られるのでありますが、喫煙者いじめも度を超すと反乱を招くのではないかと心配になり、あえて一言申し上げるしだいでございます。
先般JR東京駅から東北新幹線に乗るべくホームにむかったのでありますが、出発までに多少の時間があったのでホームにある喫煙ルームにまず行きました。そこで目にしたのは驚くべき光景でありました。丁度新幹線が全車禁煙になった直後だったせいもあったのでしょうか、そこは超満員で立錐の余地もありません。ラッシュアワーの電車なみの混雑で無理して割り込めば入れないことはありませんでしたが、とにかく全員がたばこを吸っているのですから背広にたばこの灰がかかったりあるいは火が点いたりする危険性は非常に高いと判断されました。このため中に入ることをあきらめて外で喫煙する人もあって、踏み消した吸殻がいくつか周囲に散見されました。
このとき感じたのは喫煙者が人間扱いされていないということです。まず申し上げたいのですが喫煙は法律により禁止されているわけではありません。ましてや喫煙者といえどもきちんと料金を支払った顧客であります。さらには日本人の約50%が喫煙者だという調査結果が発表されており、つまりはJRは顧客の約半分を人間扱いしていないということになります。無論たばこの煙を嫌う人が大勢いるのですからこうした人々の前での喫煙を無くすように努力するのは当然です。しかしだからといって喫煙者を非人間扱いしてよいという事にはなりません。ましてやJRは構内でたばこを販売しそこから利益を得ているのではありませんか。いったいこの矛盾をJRは何と説明するのでしょうか。
その後しばらくして羽田から伊丹に飛行機で行きました。無論羽田空港の出発ロビーにある喫煙室はJRと較べるとはるかに広く、喫煙者といえども一応は人間扱いされていると感じました。しかしもっとびっくりしたのは伊丹空港における設備です。伊丹空港は最近内装を一新したらしく全体的に以前より随分ときれいになっておりましたが、その代わり館内はもちろんのこと入口の外にいたるまで灰皿は置いてなく徹底した喫煙排除を行っていました。しかし一方で立派な喫煙室が設けられていたのです。あるレストランの隣りに位置しているこの喫煙室は、入ると正面が一面のガラス張りとなっており、その手前の椅子に座ってたばこを吸いながら滑走路の有様が見えるようになっていました。全体の広さは20坪ぐらいでしょうか。いくつかのテーブルが置いてありそこで読書をするのもよし、また飲み物の自動販売機もおいてあるので好きな物を買って飲むのもよしとなっていました。それはこれまで見たこともない立派な喫煙室であり、喫煙者も大事な顧客として遇されていることを感じさせるものでありました。
さて、読者の皆様はJR東京駅の喫煙者に対する処遇のしかたと伊丹空港のそれとで、どちらが望ましいとお考えでしょうか。喫煙者であれば当然伊丹空港の方を支持するでしょうし、東京―大阪間の旅には飛行機を利用する喫煙者が 大幅に増えるだろうと予想するのでありますが。
(一本杉)