「見苦しい大相撲」 2008年10月21日更新
今年の大相撲秋場所は白鵬の順当な優勝で関係者は一安心していることだろう。しかしこの場所全体を見て首をかしげることが多かった。それは立会いに関してである。この場所から相撲協会は必ず両手を土俵についてから立つことを徹底させるようにしたらしい。同じことを協会は二年ほど前に行ったがいつのまにかこれが風化していたようだ。そこで再度ネジを巻いたということだろう。
ところが本場所では両手をつかずに立つ力士が続出し何回も立会いのやりなおしが行われるという興醒めの光景が繰り返された。最もひどい例ではなんと9回もやりなおしが行われたという。見ている方としてはこれではたまらない。不審なのは両手を必ず土俵についてから立つことを協会が決めたならば、当然
各部屋の親方は稽古場でこれを徹底して指導し本場所では間違いなくできるようにしておくべきであろう。この当たり前のことができなかった理由は一体何なのだろうか。
どうも最近の相撲界はおかしいと感じている人は多いはずだ。 新弟子をバットでなぐるなどの暴行をおこなって死に至らしめた事件の記憶はまだ新しいが、それ以外にも横綱が病気と称して巡業を休んでモンゴルに帰りそこでサッカーを楽しんでいた件、ロシア出身の力士が大麻を吸っていた件、その一人が八百長を強制されたと暴露した件と、じつに次々と不祥事が発覚している。大相撲は同じ力士が長年に亘って取り組みを行うのだからそのうち互いに情が移ることもあるだろう。つまり八百長が行われやすい組織といえる。ずいぶんと昔から八百長の噂は絶えないが、ありうる事と一般の人は見ているだろう。もし相撲協会がこの件に本当に厳しい態度で臨む気があるのなら八百長の摘発はそれほど難しいことではないはずだ。しかし協会は一貫してそのような事実はないと言い続けてきており、したがってなんら改善にはつながらない。
これを古来の相撲の文化であると考える向きもあるだろうが、大麻事件のように明らかな法律違反となるとそうはいかない。最近外人力士が増加しており日本人力士の横綱が居なくなってからもひさしい。外人はその生まれ育った国の文化を見につけており、相撲文化といわれても簡単には理解できないだろう。もしこうした状況を続けて行くのであれば、相撲協会も相撲の国際化に真剣に取り組むべきであろう。つまり八百長を防ぐ具体的なてだてを検討しそれを実行して違反に対する罰則も明文化する必要があるだろう。 また両手をつかずに立った場合、二度目には負け勝負とするようなルールを作ることも必要だろう。オリンピックや国際陸上では競走でフライイングがあった場合、二度目のスタートではそれが誰であろうとフライイングをした選手を失格としている。これが国際的に通用するルールなのだ。
柔道では最近のルールの改変は殆んど海外の柔道協会の意向で行われており、日本の柔道の発言力はかなり弱まっている。国際化を進める以上これはむしろ自然なことであろう。これが嫌ならあくまで日本人だけで相撲を続けるしかない。相撲協会もこの辺で腹を括らないと相撲は衰退の一途を辿ることになろう。
(一本杉)