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「反日騒動に思う」 2005年05月06日更新

このところ中国や韓国において反日デモが盛んなようだ。 盛んと云っても 実際にデモに参加している人数はさほど多くはないようだが ニュースバリューはかなりある。これを受けて日本の株式市場が大幅な下げを記録したが 経済活動に大きく影響するようなことにはならないだろう。 韓国では竹島の領有権をめぐって反発が出たようだが 領有権の問題は常に存在しているのであり 今に始まったものではない。島根県が「竹島の日」を設定したから火がついたのだろう。余計なことをしたものだ。

中国ではインターネットによる呼びかけに応じてデモ隊が形成されたらしいが これはかなり重要な意味を持っていると感じる。危ういのは日本ではなく中国共産党の方ではないだろうか。こうした形で即座にデモ隊が形成できるということは 矛先が共産党に向かった時においても同様であろう。中国沿海部の高度経済成長は一部に豊な国民を生み出したが人口のはるかに多い内陸部では依然貧困から脱出できていない。国民の貧富の格差が桁外れに大きくなってきており 国民の中での不満は膨張を続けるだろう。共産党としては統治を続けるには情報を管理しなくてはならないがこれが難しくなってきていることを窺わせるではないか。案外かなり早い時期に共産党独裁が崩れるのかもしれない。 

ところで中国は特に日本の国連安保常任理事会加入と小泉首相の靖国神社参拝に反対を表明しているがこの二点に関して筆者の意見を述べてみたい。

まず安保常任理事会加入に関してだが国連は第二次世界大戦後の国際社会運営を効率的に行えるように戦勝国の指導に基づき形成されたものである。 中でも安保理常任理事会は戦勝五カ国がその権益を守るために設置したものであり敗戦国がこれに参加するというのは論理的矛盾がある。したがって日本が安保常任理事会加入を働きかけるのはおかしい。 世界で二番目の経済大国となった日本として さらに国際的に 貢献する場を広げて行きたいとの考えに基づくものと日本政府は云っているが それなら戦勝国クラブとしての常任理事会を解散するように常任五カ国を説得したらどうか。その上で国際平和に積極的に貢献できる国が集って 新しい理事会を設置しそこに日本が加入するのであれば 一切問題ないと考える。 国連の改革が先でありその前に常任理事国になるというのは賛成できない。

つぎに靖国神社参拝の件だが本来ある人間がその宗教的信条により参拝することを他人がとやかく言うべきものではない。 ユダヤ教でもキリスト教でもイスラム教でも夫々がその宗教に基づき参拝することに文句は付けていない。だから中国がこれをとやかく云うのは明らかにおかしい。 しかし中国は 日本の弱みは第二次世界大戦の時の中国侵略にあると見ておりこの弱みを事あるごとに突いてくる。首相の参拝は中国侵略を正当化せんとするものだというのだが首相は戦没者の霊をなぐさめているだけとまともに取り合わない。その霊の中にA級戦犯者が含まれているかいないかは本人のみぞ知るである。だがA級戦犯者が靖国に奉られていることは事実だ。

かなり頑固な小泉首相だが彼に少し考えてほしいことがある。それは靖国参拝のコストについてである。 首相が靖国神社に参拝することにより 中国に日本を批判する材料を提供しているわけだがこれは外交的にはポイントを一つ中国に与えていることを意味する。このポイントがいくらに相当するのか正確に金額で表わすのは難しいが日中間の経済面も含めた様々なやりとりの中でこのポイントが効いてくるとすればこれは半端な金額ではないだろう。

一方 首相が参拝を取りやめた場合のコストはどうかと考えればこれは無いに等しいのではなかろうか。とすれば答えは明白である。コストの安い方を選択すべきでありそれがひいては国民のためである。

(一本杉)


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