コラム

過去のコラム一覧へ

「どこまで落ちる?」 2008年12月18日更新

7月に140ドルを超えたWTI原油が遂に40ドル台まで下落してきた。
最近筆者は原油はどこまで下がるのだろうかという質問をしばしば受ける。それがわかれば筆者は使いきれないほどの財を築くことができるわけで、したがって答えはわからないとなる。しかし筆者のささやかな経験を材料に推理することはできる。以下にそれを述べてみよう。

筆者の記憶が正しければ価格が暴騰したあと暴落する場合、底値は大体最高値の二割程度である。つまり今回の原油の最高値を150ドルとすれば底値は30ドルということになる。この30ドルという価格には意味がある。2000年から2004年までの4年間、原油価格は大体30ドル近辺で推移していたのである。このように長期に亘って一定の価格水準が続いたということは、この価格水準には合理性があると考えてよいだろう。したがって30ドルという価格は究極の底値と思える。

一方当時と較べて現在の世界情勢は中国やインドのような巨大人口国の経済の浮上があり、また世界人口全体も急速に増加しつつある。よって現在の価格を支える合理性は当時より高いレベルにあると考えるべきであろう。具体的に妥当な価格を計算することはできないが、感覚としては40-50ドルあたりが現実的な底値圏ではないかと思えるのである。だとすれば今日の価格はすでにこの圏内に入っていることになるのだが果してどうだろうか。

次に気になるのは一旦底を打ったあとの原油価格の動きである。今回はサブプライムローンの破綻に始まった世界金融危機が深刻な状態にあり、世界経済が立ち直るには相当の時間がかかるだろう。したがって再度急速な上昇に向うとは思えない。また今回の原油価格の暴騰に懲り懲りした世界各国は石油消費を抑える方向に向うだろうから、これも原油価格の再騰を防ぐ要因として働くだろう。あくまでも推論だが2年程は40-50ドル辺りで推移しその後徐々に上昇するのではと思われる。

読者の皆さん、今回が今年最後のコラムとなります。一年間お付き合い頂きまして真にありがとうございました。次回のコラムは1月の後半を予定しております。どうか良いお年をお迎えください。

(一本杉)

ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE