「日本はあたかも漂流船」 2009年02月18日更新
およそ文化的なものであれスポーツであれあるいはビジネスであれ、チームを構成する場合必ずリーダーが存在し、そのリーダーはチームの目的とそれを達成するための手段に関して構成員に説明し、場合によっては彼らと議論を重ねながら全員の意思の統一を得ることによりチームに力を与えようとする。プロ野球を例にとればチームの目的は当然優勝することだが、有能な監督はその為に欠けているものをチーム内にみつけだし訓練や補強を行って優勝できるチーム力を身に付けようとする。チームの選手はそれを見てこれなら本当に優勝できそうだとその気になり一丸となって相手にぶつかっていくだろう。
さて日本国をひとつのチームと考えればリーダーは当然総理大臣である。ことは野球のチームほど簡単ではないが、リーダーたる総理大臣は当然チームの目標を明確にしてそれを達成するための手段を選び国民に説明して国民が一丸となってことにあたれるようにするべきであろう。その為にはまず今の日本に欠けているものに目を向けなければならない。それはなにか。これも丁寧に見ていけば数多くあるだろうが筆者はその第一番にエネルギーを挙げたい。現代文明はエネルギーなしには成り立たないが今の日本はエネルギー自給率がゼロに近い。その日本がなぜ世界第二位と言われる経済大国になれたのか。中東諸国やその他の国で安価な石油や天然ガスが大量に発見され、これらの買い付けが順調に推移してきたからである。
しかしこれが将来ともに続くという保障はない。ましてや世界人口は爆発的に増加している。過去50年間で30億台から60億台に膨張した。このまま進めば50年後には100億を超えるだろう。石油などのいわゆる化石燃料は有限の資源であり再生産はできない。急膨張する人口に伴い化石燃料の需要も急増するのだがこれを賄うのはどう考えても不可能である。つまり遠からず日本が必要とする化石燃料を手に入れることができない時代が来ると思うべきであろう。そうなれば日本の経済や国民の生活は壊滅的な打撃を受けることになる。今更江戸時代には戻れない。ならばどうするか。
答えはある意味で簡単である。日本が自給できるエネルギー源を探すことだ。これ以上に日本のリーダーが目標とするべき物があるだろうか。これには日本の存亡が懸かっているのだから。しかるにこうした議論が現在日本政府内で行われているふしは全くない。もっぱら党利党略の話ばかりが聞こえてくる。日本国はまるで舵をにぎる船長がいない船みたいではないか。船は漂流を続けているが誰も危機感を持っていないのだ。
国のリーダーがやるべきことを具体的に述べると、短・中期的には化石燃料に代わる再生可能なエネルギー源すなわち太陽光・風力・地熱・潮力などの開発に民間まかせでなく国が積極的に支援を行うべきだろう。同時にエネルギーの輸入が円滑に行われるには世界が平和であることが必要であり、平和外交にも一層の注力をしなくてはならない。そして長期的には理想のエネルギー源である水素の生産だ。現在の水素はもっぱら化石燃料から生産されているがこれでは問題の解決にはならない。画期的な発明が必要である。そのために思い切った予算を付けるべきである。とにかくこれほど夢にあふれたお金の使い道はないのだから。総理大臣殿国民に夢を与えてください。
(一本杉)