日刊ニュース

2011.01.26 のニュース

灯油復権への意気が問われる

日本エネルギー経済研究所の短期需給見通しによると、灯油販売量は09年度実績の2005万キロリットルに対し、10年度は前年比1.5%減の1975万キロリットルと大台を割り込み、11年度はさらに4.3%減の1890万キロリットルと予想された。02年度は3062万キロリットルだったから、わずか10年間で約4割の需要を失う。一方、10年度、11年度のLPガス販売量はそれぞれ0.2%減、0.3%増、電力需要は5.4%増、0.2%増、都市ガス販売量は4.4%増、2.2%増と見込まれた。暖房需要に限定したものではないが、灯油はいかにも分が悪い。
 だが、過去12年間累計では灯油利用の暖房機約6000万台、給湯器約600万台の市場規模があるとのこと。法規制で安全性は一層高まっており、09年度の製品事故ランクで石油機器は上位10品目の枠外になった。ガス石油機器工業会の販売予測によると、石油機器は09年度に国や業界の支援もあって底を脱し、今年度も暖房機は横ばいの388万台、温水機器は工コフィールの伸びなどから2%増の37万台が見込まれる。1~10月の販売実績でも、ストーブが9%増の214万台、温水給湯暖房機が8%増の29万台などと好調に推移している。とにかく消費者が石油機器を保有していなければ灯油使用量はゼロだから、電気・ガス両業界に負けないように元売、販売業者、機器メーカーが連携を強固にすることが不可欠だし、実践行動を急がねばならない。
 消費者から石油組合に電話が入り、灯油配達可能な店を照会されるケースが間々あるともいう。配達業者が見つからなければ、SSに来店いただくしかない。徒歩や自転車による購入場面は確実に増え、「ポリ缶を持ってタクシーに乗って来られた」「暖房機の燃料タンク自体を持参された」などの実例まで聞こえてくる。店頭サービスの充実化と、柔軟な配達対応。いずれも、差別化としての意味合いを増している。その際、最新機器の安全性をアピールする場面があっていいし、災害時の備えとして電源不要のストーブをお勧めできる。自立式ストーブは加湿や煮炊きに重宝するし、灯りにもなる。品揃えの弱点はカタログやインターネットで補い、電気店とタイアップする手もある。競合エネルギーとの価格競争力にも目配りしたい。いま、需要開拓にかける石油業界の意気が間われているのではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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