ガソリン市場のデフレムードと、デフレ時代向き商法 2002年02月28日更新
ガソリン市場も本格的なデフレムードになってきたようだ。石油情報センターが2月10日付けで調査したレギュラーガソリンSS店頭価格全国平均は98円と前月より1円下がっている。昨年11月に101円に前月比1円値下がりしてから、4ヵ月連続で毎月1円ずつ下がっている。特に2月は元売りが2円の仕切り大幅値上げを打ち出しているなかでの値下がりである。
この理由には昨秋の原油価格の値下がりがあるが、マーケットではセルフサービスSSの急速な増加が指摘されている。石油情報センターがまとめた昨年12月末時点のセルフSS数は1,206ヵ所、9月末より354ヵ所の増加としている。月間120ヵ所ちかい増加である。このような固定式SSの建設スピードは給油所登録制が導入された昭和50年代いらい初めてである。セルフSSにはカスタマー・ニーズがあるとはいえ、元売りのガソリン増販志向の高まりを示している。また、セルフはデフレ対策との見方もできる。
2月のガソリンの販売量は暖冬にもかかわらず伸びがなく、仕切り値上げの末端転嫁も順調に進んでいない。仕切りは3月も1円程度値上げされる見通しだから、2月、3月合わせて3円程度の値上げになる。元売りは3月決算を控えて強力に値取りするとみられ、販売業者も転嫁に全力を挙げる必要がある。しかし、セルフの建設スピードからうかがわれるように元売りのシェア競争も激しくなっている。流通業界を覆う激しいデフレムードの下ではコスト上昇を小売価格に安易に転嫁できる状況にはない。これは石油といえども例外ではなく、販売業者にとって末端値上げの心理的な重しになっている。この対策は、他の流通産業がやっているように、元売りも販売業者も安く販売できるシステムを開発して、量販でカバーして行く以外にはない。デフレ時代にはデフレ向きの商法が必要なのである。