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SS経営、生き残りかけた戦い、基盤強いセルフとフル この2つだけが生き残る 2002年06月05日更新

“セルフSS”と“フルサービスSS”-今後のSSの道筋がある程度見えてきた。
 石油流通の各段階で考えられていることは、「ガソリン」のみに頼るSSの運営はさらに難しくなるだろうということ。
 そのための施策を、元売、商社、特約店、SSの各段階が必死になって探求しているのが現状だ。
 そして“セルフSS”と“フルサービスSS”とは必ずしも同じ路線の上で競争しているべきものではないことも、おぼろげながらはっきりしてきた。
 資原エネルギー庁が石油情報センターに委託して調査した「全国SS実態調査」によると、“フルサービスSS”と“セルフSS”の実状の差は明確だ。
 まずSSの敷地は“フル”の733平方メートルに対し、“セルフ”は1122平方メートル、併設異業種店舗面積は、“フル”の53平方メートルに対し、“セルフ”は50平方メートル。
 販売量でみると、レギュラーガソリンは“フル”808KL/年に対し、“セルフ”は1,622KLとなっており、ほぼ倍の販売。ハイオクは“フル”195KL/年に対して“セルフ”は437KLとこれも二倍強を販売。灯油は“フル”が368KL/年に対し“セルフ”は293KLと“フル”の力が販売量が多い。軽油573KL/年対805KL、潤滑油4414リットル/年対5571リットルといずれも“セルフ”の方が多く販売している。
 それに対する従業員は、正社員が“フル”は3.6人、“セルフ”は3.3人と大差なく、アルバイト・パート数は“フル”が2.5人、“セルフかが5.9人と倍以上の人数となっている。
 “フルサービスSS”と“セルフサービスSS”では今のとこう正杜員数にあまり変わりないが、販売量がセルフの方が倍以上になっていることは、この数字にもあらわれている。
 こうして“フル”と“セルフ”の実態が明確になるにつれ、“フル”と“セルフ”のすみ分けもまた模索されるようになってきた。“ガソリン収益”に頼る現状から脱却して、次の時代のSSとして生き残るための動きが各地で活発になってきた。
 “セルフ”と“フル”を同一線上で考えない方がいい。セルフはむしろ新しい運営形態だ。2000坪の敷地では“セルフ”でないとどうしようもない。24時間やりながら人件費はたかだか月百万円。こういう方式に合ったところには最適の新しい運営方式だと考えた方がいい」
 こう語るのはエクソンモービル横浜支店の正岡支店長。正岡さんは今年1月まで中四国の支店長だったが、ここでもセルフSSを20ケ所作り、いずれも通常の3~4倍ガソリンを売った。香川県は全国有数の“セルフ”県なのだが、これは讃岐うどんでセルフ方式になじんでいるからだという。
 「これからは“つよいセルフ”と“つよいフル”でないと生き延びてはいけない。これは両翼であって、双方を強固につくり上げていくことがわれわれの仕事)という正岡支店長。5月から強いセルフの研究会「セルフ倶楽部」を立ち上げ、同時に“つよいフル”のための「五〇〇倶楽部」をほとんど同時に発足させた。 これまでの経験から強い“セルフ”は坪当り1KL/月が目標。
 強い“フル”の場合は坪当り2KL売ることがひとつの目安になるという。
 ただ経験から3百坪以下のSSにはあまり“セルフ”を勤めることはできないというのが本音。“セルフ”はロケーションと施設の競争になっていくのに対し、“フル”は人的競争になっていく。
 “セルフ”は施設が清潔でディスプレイが明確なことが求められ、価格明示していることなど、クリンネスの要素が大きい。 
 それに対し“フル”は油外でいかにして人件費など直接経費を捻出していくかが重要で、そのための工夫がこれからの“強いフル”の勝負どころになるという。
 “フル”と“セルフ”-この2つの運営形態が特石法以後の新しい市場に定着していくのはこれからだ。

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