系列外取引の実態調査 2002年08月29日更新
▽重要視する要素
系列外取引を行おうとする際に、単価の安さは重要な要素であろうが、これ以外に何を重要視するかという設問(複数回答2つまで可)に対しては、もっとも多いのは、販売側の事業者が信頼できることについて、半数を超える54.3%の企業が回答しており、43.6%の安定的に仕入れられること、33.6%の品質が安心できることなどとともに、安心、信頼がキーワードになっており、系列取引で元売会社に求めることと同じことを系列外製品販売事業者にも求めていることがわかる。
一方、ローリー保有企業について見ると、仕入の手続きの簡便さを重要視する比率が10ポイント近く高くなっており、支払条件の有利性を重要視する比率、安定的な仕入れについても約6ポイント低い。これらは、ローリーを持つことにより、価格交渉において支払条件を自らに有利に導きやすくなっており、広範囲な注入先から安定的な仕入をしやすい状況にあるという背景、その分だけ自ら仕入れを行う場合の簡便さをより重要視する姿が予想される。
ただし、平均的にみる限り、手続が簡単であること、支払条件が有利であること、小ロットでの仕入が可能なことなどの、おおむね10%内外の要素は、相対的には 安心、信頼に劣後する二次的な要因といえそうである。
▽系列外取引についての考え方
系列外取引への考え方に最近変化があったかについての設問に対しては、約3分の2にあたる63.7%(174社)が変わったと回答した。属性別に見ても、この比率には大きな違いは見られない。
そして、変わったと回答した企業を対象として、変わった内容については、系列取引に代わる重要な仕入先として考えるようになったというものが68.6%と圧倒的に多い。次いで、需給を的確に反映する指標として、より注目するようになったというもので15%程度である。現時点では系列取引価格に対する価格指標としての 意義よりも、具体的な製品調達の面での重要性が上回っているといえよう。
▽系列外取引への関与の仕方の変化
最近における系列外取引への関与の仕方についての変化の有無を問う設問では、仕入先となる業者選定の方法の変化を回答する企業が60.0%(24社)ともっとも多かった。具体的な変化を見ると、経済性重視の方向性への転換と、信頼性重視の方向への転換に分かれるようであり、この点は必ずしも一致してはいない。
次いで多いのは物流への取組み、および価格交渉の方法が32.5%(13社)となった。物流への取組みでは、蔵取りへの移行や物流コスト削減策の模索が見られた。そして、価格交渉の方法については、価格指標とのフォーミュラヘの移行の例が見られる。
いずれも市場原理に取引価格を連動させることにより、仕入価格を市場の実勢に合わせて下げるための努力と考えられる。