収益良好 車検と軽整備 「車関連」に新たな競合も 2002年06月18日更新
今後のSSを志向する3つのタイプのうち「サービス充実型」については、どうやら“車関連”ビジネスに特化した展開が始まりそうだ。車検、整備工場、中古車販売、自動車販売など。
こういった情勢はたとえば自動車整備業界に緊張をもたらしている。トヨタは傘下整備工場のPRに乗り出し、整備業界も振興策を打ち出している。
全国にいわゆる“整備工場”は12万軒弱。このうち「指定工場」2万7,000、「認定工場」4,000、「認証工場」が8万7,000、自動車検査員7万人、整備主任者20万人の大きな業界を形成している。全国各地に自動車整備振興会があり、ピラミッド組織ができあがっている。しかし2年前に規制が緩和されて他業種からの参入も容易になったこともあり、この業界はいま危機感が強い。
「いまこの業界は大変な不況。だから業界をあげて振興策をやろうとしている」(整備業界関係者)のである。
こういう状況の中に、SSが自動車整備工場を併設し、オーナー車検に乗り出そうとしている。
SS併設の整備工場の場合「整備工場」の認定を受けるには、一定の条件を満たす必要がある。整備場面積と整備士数である。「指定工場」の適格条件は300平方メートル以上で検査員、3級整備士。「認証工場」が200平方メートル以上で2級整備士、「専門認証」が100平方メートル以上で2級整備士が必要である。従ってどこのSSでも整備工揚をやれるとは限らない。石油情報センター「給油所経営実態調査報告書」ではアンケートによる整備工場の平均面積は171平方メートル。整備工場をもつSSの中では、販売店SSが242平方メートル、特約店直営SSが140平方メートル、元売直営SSが102平方メートル、全農系が94平方メートルとなっている。
この分野に既に進出しているSSの整備工場収益状況も「予想通りの収益」が49.2%、「予想以上」が5.2%で半数以上の54.6%は好収益をあげていることがわかる。
同様に「ユーザー車検、代行車検」の場合も46%、「中古車取次」49%、「コイン洗車」52%は好収益をあげている。
「全国にSSは実質4万5,000軒。しかし整備工場は8万軒ある。しかも小さい工場がこのうち6万軒もある。この6万軒の工場は街の裏通りにあり、土・日は休み。夜は仕事はやらない、しかしSSは街の表通りにあり、土・日も休まず、夜もやっている。SSが車検や整備工場をやれば有利になるのは当然のこと。ガソリンもあり、車検も整備もできるとなれば、顧客へのサービス充実になる」と語るのはラウンドビル社・丸岡賛行社長(コンサルタント)。三井住友海上とタイアップしてSSの車検、整備体制づくりに全国 を文字通り飛びまわっている。
商社系も伊藤忠エネクスが「ホリデー車検」と提携してフランチャイズ展開をはかろうとしているし、三菱商事石油はオートバックスと組んでオイル、洗車、併設のカーメンテナンスをめざし、丸紅エネルギーはダイエー店舗でSSとカーメンテナンスを展開してい る。
今後のSSのあり方として期待される“車関連ビジネス”だが、ここにもまた新たな競合関係が生れてくる可能性はある。