低マージン経営 SSの集客力を「武器」に 2002年07月17日更新
'現在のSSをめぐる状況はどこへ行っても「マージン経営」「油外収益」。たしかに数値的に見てもSSマージンはこの5年間で25~20円/リットル近くから10円/リットル前後に落ち込んだ。最近では7円ぐらいの声さえあり、それがSS業界のコンセンサスとして固まりつつあるように見える。
5月のガソリン小売市況と仕切価格を比較したSSマージン(見なし値)でも平均は9~10円だが中には4円強という地域もある。これではSSも、元売も回復しえない。
そんなところから一部SSの中には「"低マージン経営"を声高に言ってそういう気風を作っているのは元売の戦略ではないか。元売自体が"低マージン経営"をしかけているのではないか」という声がたしかにある。
ガソリン販売がかつて20円/リットル前後の高マージンを確保しえたのはさまざまな規制によって販売業界が守られていたからだ。それが五年前から徐々に自由化が始まって逆に今年名実共に完全自由化となった。その結果が今日の7~10円という低マージン経営時代となっている。しかし逆にいえば今日のようになるまでに五年間の猶余期間が設けられていたということができる。
五年前当時の通産省が策定した「ガソリン販売の今後の方向」には、国際化の中でSSマージンは国際水準までかなり低下せざるをえないこと、SS数は減少すること、多角化経営が必要なこと、撤退も選択のひとつであることがすでに述べられている。
そういう方針にそってこの5年間行政はガソリン販売の自由化を推進してきた。5年間で、現在の事態が出現するからSS業界は、その間に対策を立て新しい業態に変換しなさいという意向だったはず。
この行政が5年前打ち鳴らし始めたSS業界への警鐘をどう受けとめたかということが現在、"低マージン経営体制"に対する姿勢の明暗を分けているように思われる。
5年前、当時の通産省関連で"ガソリン流通"に関する将来ビジョンが打ち出された時、その情報に接して「これは将来大変なことになる。ガソリンマージンのみに頼る経営は危険」と察したSS経営者が現実にいる。
この経営者は、それ以来いわゆる"油外"収益を高めるための経営に腐心し、"油外"は単純には行かないから、"人材育成"に力を汪がなければならないと感じた。
「私は小心なので、五年前の警鐘が頭から離れなかった」こう語るこのSS経営者はグループで20店のSSを保有し、昨年から600坪のセルフSSにも乗り出している。
こんな時代に元売から頼まれ新しいSSを引き受ける事もある。"油外"のみで充分に成立つ経営体制か出来上がっている。
「たとえ.市中玉を安く仕入れてもそれを近隣競合店に合わせて、安く売っていては永続的ビジネスにはならない」と語るが、元売(外資系)との関係もスムーズだ。
確かに現状を見ていると最初に書いたSS運営者の「低マージン経営は元売の戦略か?」という声も一理はある。今年になって各元売が一斉に新しく"油外収益のSS"づくりを打ち出し、キャンペーン的な展開となっていることも事実。
しかし「低マージン経営」が求められているのは何もSSのみではない。元売も、商社系も、特約店も全ての段階がガソリン低マージン経営の時代を迎えており、新しい収益源を"ガソリン"ではないどこに求めるか、産みの苦しみをしているところだ。そのため元売、商社系を間わずリストラまで含めた経営含理化策を推進してきた。今は次の収益源を求め各段階が模索している時期。やがて次の業態が定着して安定した収益をもたらす時代が来るにちがいない。その時SSの持つ"集客力"はひとつの大きな武器になる。