商売の元は「利」継続には「協調」が必要 2003年01月17日更新
年が明け、ようやく種々のビジネスも稼働しはじめたが、全国のSSにとって需要期である年末年始商戦はどういう結果をもたらしたのだろうか?
このところガソリン市況は全国平均100円/Lのラインにぴたっと張りついて離れない。1月8日石油情報センターの発表のレギュラーガソリン市況をみても、全国平均では11月からずっと100円に張りついたまま。地域的にみると、北海道、関東、中部、近畿の各経済局管区は99円。東北は100円中国、四国は101円、九州・沖縄が102円。
一方仕切価格の方はじわりじわりと上がり始めている。11月末では、北海道0.6円、東北0.7円、関東0.9円、中部0.9円、近畿0.6円、中国1.3円、四国0.8円、九州0.5円、前月よりも値上った。今月末に出る12月分では、これまでの経過からさらに若干値上ることが予想される。
これでは以前よりは少しは改善されたかに考えられたSSマージンを圧迫することになりかねない。現在想定されるSSマージンの全国平均は、10.5円。地区別にみれば北海道10.5円、東北10.3円、関東10.7円、中部9.5円、近畿9.8円、中国10.6円、四国11.3円、九州11.6円と日本列島の真ん中あたりが一番低く、東が平均、西が高いという結果になっている。
これはいつものことで、各県別にみれば異動はあるが、地域別にみれば毎回大した変化はない。
このSSマージンの中で、今年もまた、元売、特約店との攻防が繰り広げられることになる。
昨年後半は、市場にあふれる“業転玉”を吸い上げる民族系元売各社の動きが持徴的だったように思われる。これまでの「仕組み」を離れて、本格な「市況是正」に向って大勢が動き始めたかと期待させるものがあった。
年末ぎりぎりの発表となった「新日石・出光精製提携」も、実需よりも2割は多いといわれる精製能力をコントロールすることに役立つと期待された。
これらの動きによって市場に放出される玉が制御されることによって、市況が是正され、SSも特約店も元売も“適正な”利益を確保できることが何よりも望ましいのだが、今年に入って現状を見る限りまだまだ前途は多難のようだ。
肝心の市中玉がいっこうに減少しない。現在電力向けC重油に向って各元売はラッシュしているが、これは同時に連動してガソリン生産量を増加することになる。
そのために末端では安値競争が激化して現状は“期待”とは逆の方向に向っている。またしても、外資系元売とおぼしき“業転玉”が市中に溢れはじめている。
これでは昨年前半から中盤にかけての“状況”を再び再現することになりかねない。昨年のような“どしゃぶり”市況では結局のところ安い業転玉を放出する側も、買上げる側も、扱う販売店も、どの段階も利益を積むことはできない。
当然のことながら、ビジネスの根源は“利”にある。そのためには、各分野が適正な“利”を継続して得られるような方式が不可欠で、ある程度の“競争”とある程度の“協調”が欠かせない。SSも持約店も商社も元売もそのいずれもが例え薄くても適正な利益が得られることが業界存続の条件。
その価格水準が必ずや存在するはずである。
しかし主としてアングロサクソン流方式は、“自由”の名のもとの完全闘争を求めている。しかしこの方式はいつかは頓座する。相手がなくなるまで、低価格で押しまくることで、かえって自社の採算が悪化するからである。
そういう方式には乗らないで、適正な利益を確保することを第一にビジネスを組み立てていけば市況はかえって是正されてくる。
日本ではそういう方式は分野によっては短期は別として長い日で見て通用しない。「セルフSS」の数が多いばかりで、それが全て“赤字”であれば、かえって数の多さはマイナスになる。