ここ2年が勝負 “セルフ”地図も固まる 2002年10月21日更新
現在のSSをめぐる状況-いまは混乱の中にあり、SS業界に新しく登場するモノと、去りゆくモノとの変化がきわめて著しい。
それも現在の推移を見てけると今後2年ぐらいでひとつの転換期が訪れるような気がする。
ひとつは、現在進行中の新事態の多くは2年ぐらいで成否がはっきりすると思われるからである。
前週で触れたように、元売主導の“セルフ”進出作戦は、ここ2年ほどの間に、おおまかな“セルフSS”地図が出来上り、シェアが固まるのではないかと思われる点。
ある元売は今後2年間、つまり15年度末には500ヵ所の“セルフSS”を傘下におく計画をたてていると言われる。新設・改造によって社有セルフ100ヵ所、系列特約店所有の物件を使ったセルフ100ヵ所を保有し、15年度末には500ヵ所の大台を突破する計画という。
元売“四極”の中でこれまで“セルフSS”に明確な態度を示してこなかった同社だが、このところ動きは急。同様に激しいシェア競争の中にある“四極”が夫々500ヵ所の“セルフSS”を傘下にもつとすれば、15年度末には、“四極”で2,000ヵ所、他各社、商社、農協系で2,000ヵ所程度の“セルフSS”が存在することになる。
こういう傾向の中で自然に強まっていくのが元売直販体制。そしてこの“直販”体制の中で一定のボリュームが確保できるようになった時には、各社のシェアもほぼ固まり市場コントロール力も回復することになる。それがここ2年の間ではないかという。
現在、元売各社は販売体制の再編成に向かって活発な展開を行なっているが、これも次世代の販売網構築を読みこんだ動きであり、SS業界の地盤は徐々にではあるが動きはじめている。
そうは言っても“セルフSS”の現状を見る限り、必ずしもモロ手をあげて楽観視できる未来ではなさそうだ。
元売の支店などでは、本社からの指令によって「セルフSS化」を積極的に進めなければならないという事情がある。しかしながら、セルフSSの厳しいマージンでは“儲からない”所が支店傘下でいくつも出てきている。
それを補う為に、支店内で“特別対応”を続けたり、“フル”での利益を“セルフ”に結果としてつぎ込むような現象がすでに出始めている。
元売の支店にとっては、“セルフ”も“フル”も同様に“利益”のあがるモノにしていかなければならないという使命がある。しかし、現在は本社の意向もあってどうしても軸足を“セルフSS”の方に置く形にならざるをえない。それが、同支店の“フル”主体の特約店からすれば“元売販売会社との間に優劣の差別があるのではないか”という疑念を生むことになる。“不協和音”が絶えない結果となる。
今後2年間にひとつのパターンが形成されていくと思うが、その過程は決してたやすくはない。