再び“SS”の時代 流通再編の果てに 2002年10月29日更新
大きな潮流としては、いま石油流通業界は一大転換期を迎えている。これは石油流通業が、これまでの歴史の中で築いてきたものを、もう一度洗い直し、再構築するような大きな転換。
その中で、石油流通に関係する各段階が、将来の明確なヴィジョンを築けないでいることも事実。一体“流通”のどの段階がどう変わっていくのか?元売の販売部隊はどう変わるのか?大手商社系はどう変っていくのか?専門商社はどうなるのか?大手特約店・中小特約店はどう変わるのか?そして販売店SSはどうか?
そういった「?」が各段階に携わる人達の頭の中には常にあると思われるが、まだ明確なヴィジョンをつかめないでいるというのが事実だろう。
ただ言えることは、“特石法”廃止以来の情勢の中で「自己責任」による決断、「自己責任」による運営を求められる場面ばかりになってきたということ。それまでは高マージンや障壁に守られて、流通段階が一団となって“護送船団”となり「全石連」のような全国組織に守られたが、“自由化”以後は、その機能は縮少され「自己責任」による運営が何よりも求められることになった。
こうした中、元売は販売組織の再構築を求められ、系列の中の統合、廃止は各段階に及んだ。“セルフ”SSを直販システムの中に強く組み込むことで、再び組織を立て直し、いまひとつの“方向”を見出したかに見える。その方向に向かって全勢力を傾けて取組んでいるのが現在の姿だといえる。
大手商社系も、いちはやく組織を再編した。それはひと口にいえば“ガソリンマージン”に頼らない組織体。次に来る状況をいち早く読み込み、“車検”や“中古車販売”の「カービジネス・コンビニエンス」を全国的に展開するフランチャイジーとして変身しようとしている。
あるいは得意分野であるスーパーやホームセンターと提携し、新しいビジネス分野を切り拓くコーディネーターとして転身を図ろうとしている。
専門商社系でも、“車検工場”を中核に周辺SSをネットワークする方法や自社系SSの強化拡充によって“ガソリンマージン”に頼らない組織体を作り上げようとしている。
特約店、販売店の中には、使命を終えて石油流通業から退場するところも多いが、一方ではいち早く“油外”拡充によって、すでに“ガソリンマージン”に頼らない体質を作り上げた所も多い。
こうした中、販売店は近い将来1万3,000軒減って「4万軒になる」(元売社長)という見方を示すムキもある。その周辺が将来の石油流通に適合した数字であると言える。そして地域に根ざし、集客力をもつ“SS”は次の局面での飛躍もあり得る。先の元売社長は会合で「2008年には電力自由化が一層進み、将来SSは地域の電力供給者となることも考えられる」と述べておられるが、時代は次々に変わっていき、規制はとり払われていく。そこに地域に根ざしたSSにとって新しいビジネスチャンスが生れてくる可能性は高い。
“ガソリンから電力まで”それがその時代のSSのキャッチフレーズになっているかも知れない。自動車も半ばは天然ガス系で動き、電力も半ばは天然ガス系で作られる時代が来る。こうして再び“SS”の時代は来る。いまはその前の、再構築の為の暗雲たれこめる時代。