まず「10円マージン」 優良SSの基本姿勢は 2003年01月31日更新
たしかに、SSを巡る現在の環境は決して生やさしいものではない。V6とかSP3、つまりL当り6日とか、“油外”を引いた指数が3円とかのマージンで、SS運営を継続してやっていける方法が、今年も種々提案されている。
これは裏返して言えば、これからのSS運営は、それぐらいの線を覚悟しなければだめですよという事にほかならない。
しかし、そういう状況が一般的になりつつある中で、“元気のいい”SSが確かに存在する。
それらに共通していえることはまず価格設定が違う。「はじめにマージンありき」で、まず最初にL当り10円のマージンを確保する設定になっている。その上で省力化できるものは省力化し、販売価格を“自社で”決めている。
その結果、周辺地域よりL当り3円高とか4円高とかの「価格設定」を行い、無理に数量を追いかけない。
販売数量にして200キロバーレル(月間)程度だが、そのかわり優良顧客(固定客)を2,000件ぐらいかかえている。
結局、周辺よりも3円高の店がこの2,000件の固定客をいかにがっちりと把握していているかが、この店のノウハウであり、努力の結晶になってくる。
こうして10円/LのSSマージンが確保できれば、経営の方向が読めてくるので、ガソリンで200万円(100円マージンで200KL)の粗利を確保できれば、“油外”で300万円もあれば、高収益SSになりうるのである。
SSの基本はやはり「ガゾリンマージン」。これを10円ぐらいに確保できるための努力をまずするべきである。“油外”は重要な要点であることは確かだが、“ガソリンマージン”を頭から諦めてしまって、“油外”によって経費分をねん出しようとする発想ではSSとしての継続的な経営方針は立てられないのではなかろうか?というのは“油外”には不安定な要素があるが、“ガソリン”はコメのメシであり、一定の決まった数字を固めることができるからだ。
“10円マージン”、これは現実には至難のことだろう。しかし事実それを達成しているSS経営者がかなりいることも事実。そのためには、いたずらに販売数量を追わないこと。周辺地域よりも高目になったとしても、それを通すこと。周辺地域よりも“高目”であっても、そのSSで給油することのメリットを感じて“固定客”となってくれる優良客が2,000人は確保できること。
彼らがメリットを感じるとすれば、フェイス・ツー・フェイスの温かな交渉が客との間で出来ることで、例えばその客の家族構成、誕生日、仕事、車の趣味、車以外の趣味といったプライベートなデータがちゃんとSSマンの頭に入っていて、そういう対応が出来るかどうか。
それが本来、“フルサービスSS”の姿であったはず。地域に根ざし、地域と交わり、親身になって客のことを考えてくれるSS経営が行なわれれば、周辺地域よりも例え3~4円/L高くても、2,000件ぐらいの固定客は、このSSを利用したいと思うにちがいない。
たしかに“セルフSS”の攻勢、周辺のフルサービスSSの安値攻勢、そういう中を生きぬいていくことはなみ大抵のことではない。
しかし周辺の動きに、あまりに過敏にならず、“まず10円マージンありき”の精神で、その上に自社SSの販売システムを構築していけば、道は開けてくる気がするのである。
結局、“安値”に走る限り、所定の収益は逃げて行く。“値段”は客を呼ぶ最大の要素ではあるが、その前にSS経営に携わる者の意識を切り変える必要がありそうに思われる。「量を稼ぐことが、利益を大きくすること」-確かにかつてはそうだったに違いない。しかし“10円マージン”も確保できないで、量的拡大をはかれば赤字を積むだけ。もはや「ボリューム神話」や「価格競争」を捨て、「最初に10円マージンありき」で臨む時代になってきた。
そうすれば「市況」も自ら定まって元売も商社も特約店も適正な利益を確保できる時代が来るかも知れない。