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「罪人か病人か」 2005年06月03日更新

通常の犯罪は金品を手に入れる為か、あるいは恨みなどの私情に基づいて行われるものである。 したがって法律ではその犯罪の程度に応じて一定期間犯人を刑務所に収監し、その期間中に犯人が更生することを期待している。刑務所の中で社会から隔離され自由を奪われることは人間として辛いことだから、同じことは二度と繰り返すまいと肝に銘じてくれることを願っているのだ。 多分この期待は間違っていないのだろうが、これはあくまで健康な人間を前提にしたものである。 つまり心を入れ換えたならば 一般の社会人と同じように生活できる人は、健康な人なのである。そして法律上刑罰はこうした健康な犯人を前提にしており、それ以外の規定は含まれていない。

しかし現実には病気の犯人もいるのだが、こうした人も法律上は健康な人と同じように扱われている。 これが一般社会を脅かす原因となっている一例が、異常性犯罪のケースである。 この場合、犯人は金品の奪取を目的にもしていなければ、ましてや恨みを持って犯行に及ぶわけでもない。 自制しきれない衝動に負けて犯行に及ぶのであり、これは明らかに病気である。 この病気を治さずに一定の刑期を終えて出獄すれば、彼らが再び犯行に及ぶとしてもなんら不思議ではない。恐ろしいことである。

ならばどうすべきか。やはり病人であるならば、その治療を行うべきであろう。
伝染病などの患者は隔離病棟に入院させられるが、病人である犯人も同様の処遇を受けるべきだろう。この場合その期間は病気が治るまでとし、一般の量刑のように前もって期間を決めるのは実態に合わない。 また大方完治したと思われる時には、社会に戻して様子を見ることも必要であろうが、この場合にも定期的に医師の診断を受けて病気の再発を防がねばならない。これも一般の患者がよく行っていることである。

このように病気が原因で起こる犯罪を明確に規定し、一般の犯罪者とはっきり区別して処遇するのは真に当然の事と思うのだが、何故現実はそのようになっていないのであろうか。

(一本杉)

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