「隠れた高値」 2005年09月15日更新
原油価格は相変わらず新高値を窺う姿勢を崩していない。 これを受けて我国の石油製品価格も高値更新中である。 店頭ガソリン価格はこのところ毎月のように値上げされており、9月にはレギュラーでリッター当り130円台が普通になりそうだ。これは湾岸戦争直後の‘91年以来の高値である。そろそろ消費者も何らかの対策を考える時期に来ているのではないだろうか。
ところで値上がりしているのはガソリンだけではない。原油の値上がりに起因しているので、すべての石油製品が値上がりしているのである。 一般消費者に身近なガソリン以外の石油製品と云えば灯油がある。 今は夏なので灯油を買う人は殆んどいない。 したがって街中のガソリンスタンドでも灯油価格は表示していない。
新聞やテレビなどでも灯油価格は取り上げないし、消費者の方もこれには全く興味を示さない。だから値段がいくらになっているのか知りもしない。 しかしあと二ヶ月もすれば皆が灯油を買い始めるのは間違いないし、その時消費者はあっと驚くことになるのである。
では今年の冬の灯油価格はいくら位になるのだろうか。無論これは今後の原油価格の推移により変動するので正確なところは分らない。 そこで今現在分っている先物市場における来年一月の灯油価格を見てみると大体リッター当り57円程度である。
この価格は製油所渡しなので、これに流通経費として20円上乗せすると77円となる。
実際にスタンドで販売するときは通常18リッター缶で売られるので、一缶当りの価格は1,380円と計算される。さて消費者の皆さんこれを見てどのように思われますか。
因みに今年の一月の先物市場における灯油価格は大体36円程度であった。したがって来年一月より21円安かったことになり、来年一月では約60%値上がりすることになる。しかし20円の流通経費が変らないとすれば今年一月のスタンド店頭渡し価格は大体1,000円だったことになるから、店頭渡し価格の値上がり率は約38%ということになる。いずれにせよ値上がり率はガソリンのそれよりはるかに大きいことになる。
しかしニュースにもならなければ話題にもならない。これが「隠れた高値」の所以である。
(一本杉)