コラム

過去のコラム一覧へ

「民主党の惨敗」 2005年09月27日更新

先の衆議院選挙では自民党の圧勝とマスコミは書きたてたが、これはむしろ民主党の惨敗と云うべきであろう。それにしても民主党にとってはまさに悪夢のような出来事であったと思う。自民党の内輪もめが発端となった突然の総選挙に、民主党が準備不足であったとしても不思議はない。 小泉首相が声高に今回の選挙は郵政改革に賛成か反対かを国民に問うものであると繰り返したため、決して反対ではない民主党としては明確に争うポイントを失ったとも云える。そもそも自民党内での反乱がなければ郵政改革案は参議院で通過していた筈だし、反乱部隊の鎮圧は自民党内で行うのが本来の筋であっただろう。 

これまで自民党に票を入れなかった人達の多くは、おそらく自民党の金権主義や既得 利権保持主義に批判的であった人達だと思う。 ところが今回は自民党の中で改革派と金権利権派と思われる改革反対派とにわかれたために、改革派を応援しなくてはという気持になって票が自民党改革派に集まったと見てもよかろう。投票率向上分の殆どが自民党に向かっただろうし、民主党を支持していた人達の票も今回に限ってはかなり 自民党に流れたと思われる。

東京都および隣接の各県は従来民主党の圧倒的地盤であったのが、今回は特にここで大敗しているのを見れば、上記の見方が裏づけられるのではないか。 つまり、今回は民主党にとって不幸な選挙であったと云えるのだが、しかし二大政党を旗印にする民主党にしては足下が軟弱であることが露呈したとも見られ、将来に向けて万全たる戦略を構築する必要があろう。

今回の惨敗がきっかけになって民主党の代表が若い前原氏になったが、これにより民主党の改革はやりやすくなった筈だ。今回の選挙結果を見れば国民が古い体制からの脱皮を望んでいることは明白であり、野党民主党としてはどのような形で改革を実行するのかを国民にはっきりと伝える必要がある。 小泉首相も次期内閣では若手を大幅に登用して改革を行う自民党をアピールするだろう。 どうもこれからの政局は改革競争となりそうだ。 民主党としてはただ改革を叫んでいるだけでは同じように改革をアピールする自民党に勝てそうもない。 

改革の旗を振る自民党にたいして、同じ改革派である野党としてどのような差別化を図って戦っていくのか、じっくりと練った戦略を構築してほしいものである。それでなくても次回の選挙では民主党の票は大幅に回復する筈なのだから。

(一本杉)

ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE