「時代の変遷」 2005年10月25日更新
随分と昔の話ではあるが、嘗て巨人・大鵬・玉子焼きという言葉が一世を風靡した。
誰もが好きだという意味でこの三つが並べられたのであった。
野球の巨人軍は1961年から74年までの14年間で、長嶋・王を擁する川上監督が9連勝を含む優勝11回を記録した。まさに巨人軍の黄金時代である。巨人さえ応援していれば、ファンは毎晩のように勝利の美酒に酔えるというわけで、日本中が巨人ファンで埋め尽くされたかのようであった。
それから30年以上を経過した現在、巨人軍の凋落振りは見るも無残である。最近では巨人戦のテレビ視聴率は7%程度にまで落ち込んだとのことで、読売系の日本テレビでさえ巨人戦を中継しないことが多くなった。パ・リーグの覇権を争ったホークスとマリーンズのテレビ中継視聴率は14%程度であったというから、ファンが野球を見なくなったのではなく巨人戦を見なくなったのである。理由は明白、面白くないからであろう。
巨人軍の黄金時代と時を同じくして大相撲の世界で君臨したのが横綱大鵬であった。
1961年から約10年間に亘って横綱を務め、その間26回の優勝を記録している。
これも嘗ての巨人軍と同じで、大鵬を応援していれば殆ど常に勝利を喜ぶことができるのが人気のもとであったろう さらにはライバルの横綱柏戸の存在も見逃せない。
柔の大鵬に対し剛の柏戸といった図式で柏鵬時代を築いた二人だが、この対決が大鵬の人気を一層高めたのも事実である。
そこで今の大相撲を見てみると人気はいまいちのようである。横綱朝青龍の強さは大鵬並みと言ってよかろう。しかし嘗ての大鵬のような人気の盛り上がりがない。最近琴欧州が台頭してきて、近い将来朝青龍との名勝負を場所ごとに見られそうであるが、果してこれで昔の相撲人気を取り戻せるだろうか。やはり相撲ファンは日本人の 横綱を待ち望んでいるように思える。若貴時代後久しく日本人の横綱が現われていないが、これが実現しないかぎり相撲人気の回復は難しいのではないか。 若い日本人力士の奮起を促したいが、これという力士が見当たらないのも残念ながら本当のところである。
巨人・大鵬に続いてなぜ玉子焼きが出てくるのか筆者も本当のところはわからない。多分玉子焼きが嫌いだとう人間は殆どいないという前提での列記だと推測するが、その玉子焼きも最近はコレステロールが多いとかで敬遠されているようだ。
こうして見てくると、時代は大きなうねりを伴って変遷していると認めざるをえない。
30-40年前の常識は今や非常識ということだろう。楽天やライブドアーそして村上ファンドという新星が、鉄道やテレビなどの昔と変らない業態を保っている会社に買収や提携を迫っているのを見ていると、変遷する時代における必然を感ずる。長期に亘って同じ業態を続けている会社は他にも沢山あると思うが、それらの経営者は時代の変遷のうねりをしっかりと認識すべきであろう。
(一本杉)